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現在におけるゴムラテックスの配合設計の基本概念について

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2.ラテックスの安定化機構、およびその対策

2.1 汎用ラテックス

ラテックスのもつそれぞれの個性と,加えられる不安定化因子から,安定性を化学的なもの,低温を含めた熱的なもの,機械的なもの,経時的なものなどに分類する。それらの安定性は実際の加工現場において単独ではなく,併合された状態で表現される場合がほとんどである。しかし,個々の安定性は全く独立したものであるから,製造加工上においては別個に解析しなければならない。

ラテックスが安定な状態を保っているのは単純にいえばゴム粒子は電荷をもっているので,互いに反発し合い凝集の機会を作らぬこと,粒子表面の保護層がラテックスの不可逆的な会合を防止しているからである。

ラテックスを用いて配合する場合,常に考慮に入れなければならない安定性について一応の整理してみると,これを減少ないし破壊する添加物の種類と量,そして原料ラテックスに先天的に存在する不安定化要因の多くを考えた場合,その経過と運命はラテックスが置かれた条件,つまり温度と時間がファクターとなる。

(1) 安定なコロイドゾルラテックスに,先天的,または後天的な不安定要因が存在するか,あるいは加わったとき,ラテックスは普通増粘を伴いながらフロッキュレーション(floculation,微凝集,軟凝集)を起こす。これはゴム粒子の弱い集合体なので元のコロイドゾルは戻る可能性がある。
(2) 電解質などの添加により,フロッキュレーションからさらに進んだ粒子集合体を作る凝集(aggregation融合)の過程。この状態は不可逆的である。
(3) 化学的,または物理的な作用によりゴム粒子は集合し,ブラウン運動は停止し流動性も消失してゼリー状となり,集合体の細隙中に漿液が含まれている状態をゲル化(gelation)という。時間的な見方からすれば前項【2】の凝集から連続した現象。
(4) 前項(3)のゲル化現象が時間的に延長されるか,または強い不安定化効果をもつ物質が添加あるいはそれに接触すると,コロイドゾルは一挙に破壊され,シネレシス(syneresis)が急速に進行し,ラテックス中の漿液はほとんど放出され,容積の減少を伴いながら三次元的なゴム粒子の集合体(wet gel-tight gel)を形成する。これを凝固(coagulation)という。

このようなラテックスにおける一連の安定ないし不安定性の要因すべて表8に示し,それが実際応用とどういう関係があるのかという点についても例示した。

つまり,ラテックスは加工過程のおおむね前半部は安定でなければならないが,設定された後半部においては不安定になってくれないと困るという一見矛盾した性質が要求されるのである。これが固形ゴムと相違する点で,配合設計の重要な一環に含まれる。

筆者らがこれまで行った実験結果により少々直裁的ではあるが,LA-TZ型NRラテックスを対象にした配合ラテックス(S8標準配合)の経時増粘防止,いいかえれば配合(化学的)安定性を防止する方法を次の通り集約する。

(1) 特殊カルボン酸型界面活性剤の添加
(2) 両性界面活性剤(例えばアミノ酸型に属するカゼイネート)の添加
(3) (1)と(2)の併用
(4) 特定のりん化合物(例えば正りん酸化合物)やアルキルアリルスルフォン酸塩の添加
(5) 特定の2次保存剤(例えばペンタクロロフェノール塩)の添加
(6) (2)と(4)との併用

上記以外にNR配合ラテックス全体に対し安定効果ありとする方法は次のとおりである。しかし,その効果程度は原料ラテックスの銘柄と入荷ロットで異なった結果を示すから,現場配合の以前にチェックしておくことが必要である。

(1) アルカリ類,とくに固定アルカリ溶液の添加
(2) ノニオン性界面活性剤の添加
(3) (1)と脂肪酸石けん
(ラウリル酸アンモニウム(C14),カプリル酸カリ(C12)など)との併用

なお,いずれもその有効添加量は0.1~0.5phrの範囲内にあり,過剰に用いると逆に増粘したりゲル化遅延による加工性低下を招く。概して安定化剤や分散剤のように配合と加工の工程で用いられる薬品類は,最終製品中に残留してほしくないものなのである。したがってラテックスの水相に作用する薬品はすべて必要最小限の添加量にとどめたい。

異種ラテックスの組合わせ効果(blending effects)を得るには,両者ラテックスの相溶性が完全でなければならない。これが確保されないと両者ポリマーそれぞれの欠点が製品に表われ,いわゆる加成性というラテックスブレンド配合の本来目的を達することができない。そのためには,一般に次の2点に注意すべきである。

(1) 相手側のラテックスの表面保護層成分に相当する安定化剤を一方のラテックスに事前に添加して相溶性を向上してやること(例えば,NRとCRとをブレンドするときは,NRラテックスに樹脂酸右けんを少量添加し,一方のCRラテックスにはカゼイネートを少量加えておき,多少の時間をおいて両者ラテックスを混合するのである)この操作も先述したことと併せて「事前安定化」の操作に包括される。
(2) 両者のラテックスを混合したら,必ず熟成(matura-tion)してから使用しなければブレンド効果は期待できない。熟成の条件は,ほぼ30℃で4時間以上は必要である。なお,「熟成効果」にはこれ以外に,前加硫効果,無機充てん剤や乳化油状配合剤,顔料分散体などの効果発現も包含される。特にNRラテックスには重要な工程である。
表8 ゲル化現象と粘,接着との関係
①漿液が分散してゲル化②加熱によるゲル化
ゲル化の因子 ラテックスを多孔質表面に接触させると,急速に不安定化する。
粘,接着への波及 この作用が強くても弱くても接着力は減少。かえって加速させ,早くゲル化転移させ擬似接着性を発現しようとする着想も生まれる。(例えば,NRラテックスに対する明ばんやベントナイトの添加効果)
②加熱によるゲル化
ゲル化の因子 ゴム粒子の運動エネルギーの増加に伴う相互接触と,表面保護層の変質による。
粘,接着への波及 配合ラテックス接着剤の夏季貯蔵性の低下。
非着体自体の温度,塗布後の待ち時間の選定に対する考慮。このようなゲル感受性を高めるには,感熱化剤の併用,NRでは脱蛋白法。
③機械的応力によるゲル化
ゲル化の因子 ゴム粒子の安定化限界を超え,相互接触癒合する。また,表面層の物理的破壊。
粘,接着への波及 接着糊剤を調合するハンドリングにける影響。
常温加圧ゲル化型ラテックス(PSG)は,このゲル化因子に早い応答動作を示すように調整する。
④有機溶剤によるゲル化
ゲル化の因子 特に耐溶剤性の少ないラテックスは溶剤が直添されると膨潤し,ゲル化にいたる。
粘,接着への波及 ラテックスに有機溶剤を直添する場合,少量ならラテックスが自己乳化し,単に増粘だけにとどまる(粒子肥大化)。この時,ラテックスはgel~dry域のタックを上げ,被着体への「ぬれ」も改良される。一方,軟質PVCシートのごとく,被着体表面に油状物質が移向~径時滲出してくると,初期接着性~径時接着性が低下する。後者は溶剤による糊剤の急速ゲル化による。
⑤直接ゴム粒子の電荷が減少して、不安定化~ゲル化
ゲル化の因子 一般のアニオン刑ラテックスでは,pHの低下,電荷の減少により安定性を失う。そのための薬品は有機,無機の酸,アンモニウム塩,多価金属塩など。
粘,接着への波及 ラテックスの一般製品の加工因子を成型する。
接着分野では,ゲル化性の促進による性能向上法に取り入れられている。
⑥ゴム粒子の表面保護層の安定化能力を減衰してゲル化
ゲル化の因子 例えばNRラテックスに対する蛋白解酵素の作用を利用した感熱性付与。合成ラテックスに対する多価金属塩による保護層の変質。
粘,接着への波及 接着の応用において,所定の所定の温度域で糊剤ラテックスをゲル化させるため補助手段として,あらかじめラテックスを不安定化させておく配合手法の採用。
⑦その他不安定因子
粘,接着への波及 ⅰ)希釈,濃縮,脱水,強アルカリ添加などに伴う不安定化
(shock gelationともいう)
ⅱ)30~50℃域に曇点を有する水溶性高分子の添加によるゲル化
ⅲ)縮合,重合型架橋樹脂のラテックス中における反応。
ⅳ)特定の配合薬品(MBT,TT,MB,DPGなど)による不安定化

3.ラテックスに用いる配合薬品の概要,特徴およびその取扱方法

 

この章ではゴムラテックスといういわゆる不均一ポリマーに専用される配合薬品類について,その種類と特徴を概説する。

3.1 ポリマー相に作用する薬品

(1)加硫剤

ラテックス加硫剤として硫黄を用いる場合は,主としてコロイド硫黄,または沈降性硫黄など粒子の細かいものが用いられる。添加配合量はNRで0.5 ~1.5phr,SBRで1.0~2.5phr。

無硫黄加硫剤(硫黄ドナー系)として用いられる薬品は,TT,TS,またはTRAであって,TTの場合2.5 ~4.0phr配合し,ジチオカルバミン酸亜鉛塩とチオ尿素が併用される。かかるチウラム加硫はモノスルフィド結合を主体とした耐熱性の良い製品が得られる。

(2)活性化剤(加硫促進助剤)

一般的には1号亜鉛華,または活性亜鉛華が用いられるが,亜鉛錯塩の生成に基因する不安定化に注意が必要。添加配合量は1~5phr。

(3)加硫促進剤

ラテックス用としては超促進剤に属するチウラム類,ジチオカルバミン酸塩類,またはMBTの亜鉛塩がその主体である。すなわち,その形態としてはアルカリ金属塩の水溶液,あるいは水溶性のアミン塩(TP,PPDなど)と,水の不溶性の亜鉛塩(PX, PZ,EZなど)が,加硫の平坦効果と耐老化性とを考慮において併用して使用されることが多い。これらの促進剤は,とくに粘度(経時増粘)に与える影響が大きい場合がある。

なお,ジエン系ラテックスに対するジチオカルバミン酸塩の加硫性能は,BZ>EZ>PZとなりアルキル基の大きいほど促進能が高く,固形ゴムの場合とは逆になる。この原因としてLラテックスの場合はアルキル基とラテックス粒子内ゴム分子とのからみ合いが考えられるが明らかではない。

(4)老化防止剤

合成ゴム製造時の安定剤として用いられるものを除けば,とくにジエン系ラテックス用として特定の老防剤を挙げることはない。

しかし,広くラテックス製品は概ね着色汚染性をきらうとともに安全衛生性を重視する場合が多いから,フェノール系老防剤とくにビスフェノール系,さらに具体的にはantioxidant425タイプのものが好ましい。

3.2 水相に作用する薬品

この薬品群は高分子ラテックス,Emの配合において極めて重要な地位を占める。すなわち,前節で述べたポリマー相に作用する配合薬品をラテックスに満足すべき状態で添加し,ゲル成形性を維持し,さらに水分揮発後の乾燥ゴムの化学的均一性を確保し,その後に適切な架橋や変性化反応などの安全を期するうえで独特の役割を持つからである。

この薬品群には分散剤,安定化剤,湿潤剤,乳化剤,増粘剤などラテックスの安定性を維持ないし向上させるような薬品類と,不安定化剤,ゲル化剤,感熱化剤,凝固剤のようにラテックスのコロイド安定性を低下させるように働く薬品類,さらに消泡剤,起泡剤,泡沫安定剤などの加工助剤,クリーミング剤,防腐防ばい剤,凍結防止剤,造膜助剤のように,ラテックスの濃縮,精製,純化,または貯蔵性の改善に使用されるものなどが含まれる。

換言すればラテックス配合物の調製を容易にしたり,加工性を改善するために用いる薬品群のことであって,ポリマー相に作用する薬品類とは異なり,それらの内の多くのものはゲル化(賦形化)終了以降の工程には残留して欲しくない類いの薬品である。

これらの薬品の多くは化学構造上から界面活性剤に属するものが多く,むしろその機能上の分類ともみられるので,同一薬品が各種特性を併せ持つ場合が多いため,機能的分類をすると重複して記述することが避けられない。

そこで,界面活性剤の分類に従って作成したのが表9であるが補足説明は省略する。

3.3 特殊効果を与える薬品(副配合薬品)

先述のように単に配合処方だけが適切であったとしても,配合操作(配合ラテックスを調製するための一連の工法)が完全に行われないと,必ずしも処方の立て方だけで期待できる製品を得ることはできない。

4.分散,乳化,混合など一連の配合操作

4.1 配合剤の分散と乳化の操作

4.1.1 水溶性配合剤溶液の調整

ラテックス用配合薬品の中には水に溶解して直接ラテックスに添加するものがある。例えばアルカリ溶液や多くの界面活性剤のような安定剤化剤,分散剤,湿潤剤,乳化剤,および水溶性加硫促進剤,特定のオゾン劣化防止剤,保護コロイドや増粘剤として用いられる水溶性高分子物質のカゼイン,CMC,PVA,ポリアクリル酸塩,ポリビニルメチルエーテルなどがそれである。

これらの内の一部は濃厚水溶液として市販されているが,多くの場合に水溶液は経時貯蔵安定性が不十分なことから粉末状や固形物として扱われており,使用にあたって適当な濃度に溶解するのが普通である。

それら薬品溶液の調製はとくに難しい問題はないが,使用時の濃度設定に留意しなければならない。例えば固定アルカリ(KOHなど)はラテックスの安定化剤,pH調整剤として用いられているが,一般に5~20%溶液として使用され,高濃度になると逆にラテックスを急速に不安定化しゲル化(shock gelationという)を引き起こすことがある。

水溶性薬品の内でとくに調製方法が問題となるのは水溶性高分子配合薬品である。すなわち,カゼイン溶液の調整時におけるアルカリの種類の溶解方法の違いによる溶液粘度の差異,メトセルやCMC溶液調製時の溶解手順と加温のやり方によるでき上りの溶液形態の違い,さらにPVA,ポリアクリル酸塩,PEOなどにおける「湿潤~膨瀾~溶解」の過程に対する配慮の必要怯などについてである。

4.1.2 粉末状配合剤の分散体調整

水には微溶解か,まったく溶解しない配合薬品は,原則として分散体,またはスラリーとしてラテックスに添加され,攪拌裡に直添すること(day charge)はまれなことである。一般には,ボールミルのような分散装置を用い,湿潤剤,分散剤,安定化剤などの共存下で水中に分散させる方法がとられている。

分散体を調製するために用いられる装置は(ⅰ)擬集した2次粒子を,もとの1次微粒子にほぐしてやるために用いるもの(コロイドミルなど),(ⅱ)1次微粒子をさらに細かく粉砕するために用いるもの(ボールミル,ベブルミル,アトリッションミル,サンドダラインダー,超音波ミルなど)に区別される。

現在,実際に利用される一般的な装置はボールミルであるが,最近作業能率向上のためアトライターやサンドグラインダーが登用されるようになった。ポールミルによる分散効果と粉砕効果はミルポットに仕込む分散剤,安定化剤,湿潤剤などの種類と添加量,pH,粘度と濃度,一方においてはポットの容積,ボールの大きさと個数,ポット容積とボール占有容積,さらにボールミルの回転数などの因子によって決まる。

4.1.3 油状またはワックス状配合剤の乳化物の調整

乳化物(乳濁液)は,分散媒,および乳化安定剤とからなる系である。そして分散相が油状物質で分散媒が水である乳化物は水中油滴型(o/w形)と言われ,その逆のものは油中水滴型(w/o形)と呼ばれる。ラテックスに添加する乳化物はo/w形が好ましい。

乳化剤の役目は乳化にあたり界面張力を減少して乳化が容易に行われるようにすることと,できあがった乳化物に対する不安定化傾向を緩和することにあるだけなので,特殊なケースである「自己乳化」の場合を除くと液滴を細分化するためのせん断エネルギーは外部から与えてやらねばならない。

この仕事をするための装置が乳化機であって,(ⅰ)単純な攪拌装置,(ⅱ)高速攪拌装置,(ⅲ)コロイドミル,(ⅳ)ホモジナイザー,(ⅴ)超音波乳化装置などがあり,乳化の難易度,稼動効率を含めた経済性によって使い分けられている。

乳化物の性質影響を与える乳化条件としては,(ⅰ) 乳化剤の種類と使用量,(ⅱ)乳化剤の添加方法,(ⅲ)2相の混合方法,(ⅳ)乳化の温度と時間,(ⅴ)乳化機の選択,(ⅵ)乳化直後の冷却速度,などが挙げられる。

一般的には油状物質にオレイン酸を,一方の水は水酸化ナトリウム,またはトリエタノールアミンを溶か しておいて,混合時に石けんを生成させると同時に乳化する即座法が効果的である。乳化剤の適合性については対象の被乳化物によって異なるから,各種の乳化剤について事前チェックを行い選択することが最良である。

4.2 ラテックスの混合操作

ラテックスは配合共品の分散体,スラリー,乳化物,溶液などを混合するための主な装置は,攪拌機を備えた混合タンクである。混合タンクの材質は耐蝕性のあるステンレス鋼,エポキン樹脂系塗料をコートした軟鋼らであり,内部温度が調節できるように外周部にはジャケットがつけられている。

攫絆速度は20~100rpmの範囲だが,攪拌翼の大きさと形状,またはタンク容量により逢ってくる。つまり高速より低速度で攪拌効率の良い翼の形状を選び,タンク内の液面外周部に攪拌が及ばない部分ができる現象(corning)に注意して設計することである。なお,ラテックスの導線(回路)に用いる弁は,摩擦によるゲル化を防止するためにダイヤフラム,またはボール式が好ましい。

混合手順はまず原料ラテックスに対して受入試験を行い,その結果をふまえて濃度,粘度pH,安定性などを調整する。一方,分散体や乳化物が適切に作られているかどうかも,沈降試験や乳化安定試験などで確認する。

混合は水酸化カリウム,アンモニア安定化剤らの溶液などラテックスを不安定化させないものから順次加えていく。最後に着色剤や充てん剤が添加され,増粘剤や減粘剤,必要によってはチクソトロビック性(揺変性)調節剤で最終調整して配合を終わる。

以上操作手順を集約するとラテックスの安定性を高めるものから順次配合していき,安定性を低下させる傾向の薬品,あるいは増粘させることによって混合効率が低下するようなものは最後に配合すること,あるいは薬品間で相互作用を起こし安定性に悪影響を及ぼしたり,薬品自体の効果が減衰するようなリスクのあるものは添加混合する間隔を空けること(時間差配合という)などが混合作業の重要な点である。

なお,多量の充填剤が高粘性の配合物は,安定化剤,またはアルカリ溶液の一部をその配合物に加えておいて,残部をラテックスに添加した後,両者を混合するはうがよい。これは,バッチ式プロセスといわれる方法で,混合分散体をラテックスに加える場合にラテックスに一部に混合分散体を十分に混合しておいて,これに残りのラテックスを注加し全体的に分散混合する効率的な方法もそれに属している。

さて,混合の終わったラテックス配合物は必要な試験を行い,粘度,pH,安定性(ゲル化特性)などを点検し,所要の熟成操作を行い,最終的に凝集物を網ふるい(約177μm)で除去し加工に供する。

おわりに

紙数の都合で実用性能付与配合の技術,すなわち,特定の物理,化学的性質を与える場合の架橋方法,NRの変性化方法や合成ラテックスの使用方法,難燃性付与技術,耐寒性,耐熱性を改良する処方,さらには低価格化配合設計など,実用上重要な事柄の記述ができなかった。しかしながら,少なくとも現在におけるゴムラテックスの配合設計の基本概念は冒頭に示す「参考文献」に網羅されているので関心のある方々のご一読をお勧めしたい。

謝 辞

本稿は筆者らのうち,沖倉が平成9年2月28日開催の㈱日本ゴム協会・技術シンポジウムにおいて,講演した際に用いたテキストを推鼓したものである。本誌に発表を許諾された上記学会・技術部会・秋葉配合技術委員長に謝意を表する。

参考文献
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  • 14)沖倉元治:例えば,ポリマーダイジェスト,36(5),101(1984);38(12).86(1984);37(2),95(1985);37(7),97(1985)

掲載 : 「接着」”ADHESION and SEALING”
発行所 : 高分子刊行会